大塚化学は、10月4日~6日、千葉市美浜区の幕張メッセで開催された、「フィルムテック ジャパン」や「プラスチック ジャパン」、「サステナブル マテリアル展」などで構成される「第14回 高機能素材Week」に出展、チタン酸カリウム繊維「ティスモ(TISMO)」をはじめとする強化フィラーと各種熱可塑性樹脂をコンパウンドした高機能複合材料「ポチコン(Potassium Titanate Compound)」を紹介した。
TISMOは繊維長10~20μm、繊維径0.3~0.5μmと極めて微細・高アスペクト比で、高強度・高剛性、優れた摩擦摩耗特性、断熱性、耐熱性、耐薬品性などの特徴を有する。ポチコンは、TISMOの各種特性と、各種熱可塑性プラスチックスの特性を巧みに組み合わせた機能性樹脂複合材料で、大別して以下のような特長を持つ。
・樹脂中の繊維の分散状態がミクロ単位で均一なため、従来は極めて困難とされていた極小・超薄肉製品の超精密成形が可能(ミクロ補強性)
・アルミや快削鋼を削らず(相手材への攻撃性が低く)、無潤滑摺動が可能なため、摺動部品に最適
・TISMOが極めて微細な繊維であることから射出成形品細部まで分散し、優れた寸法精度と寸法安定性を発揮
・TISMOを配合して作られるポチコン成形品は金型転写性が高く、鏡面状態の平滑面が得られる
・TISMOの剛性、強度、サイズなどに由来する、優れたリサイクル性
ブースでは、ポチコンの特長を生かしたままで、ポチコンペレットを熱溶解積層法(FFFあるいはMEX)方式用にフィラメント化した「ポチコン3Dプリンティングフィラメント(ポチコン3DPフィラメント)」と、大塚化学が本年8月に資本業務提携を行ったグーテンベルクが提供する、従来製品の最大10倍という高速造形を実現するFDM/FFF式3Dプリンター「G-ZERO」を展示。両社の共創で、ポチコン3DPフィラメントの性能を引き出しての高速×高強度・高精度造形による各種アプリケーションを紹介した。
また、ポチコン3DPフィラメントを用いたG-ZEROによる高速造形品の一例として、ロボットハンドの動態展示が行われた。
ポチコンフィラメントTISMO配合ポリアミド(PA)を用いた造形検証の結果、以下のようなことが確認できている。
・従来機比5倍の高速造形で造形品の強度(曲げ強度)が20%向上→吐出速度×樹脂冷却速度の相乗効果、Z軸方向強度も向上
そのほか、半導体検査治具向けに開発された板材である「ポチコンIT6B」を紹介。TISMO配合の複合材料であるポチコンの①ミクロ補強性、②寸法精度と表面平滑性、③低摩耗性、④高硬度といった特長から、微細なドリル切削加工に適した材料として提供。狭ピッチ化が進む電子部品用検査治具などをターゲットとして提案を進めていく。穴径φ100mm、壁厚20μm、厚み1mmの板材の625穴の加工において、ポチコンIT6Bでは優れた低バリ性が認められることを披露した。