TCT Japan 2023が開催

2023年02月20日(月曜日)

 3Dプリンティング & AM技術の総合展「TCT Japan 2023」が2月1日~3日、東京都江東区の東京ビッグサイトで開催された。本誌関連では、以下のような出展があった。

 グーテンベルク(https://gutenberg.co.jp/)は、これまでの試作開発のPDCAを加速できる高速FFF方式3Dプリンター「G-ZERO」を展示した。造形の速さを左右する要素の一つであるツールヘッドのノズル最大移動速度が500mm/s、プリントヘッド最大加速度20000mm/s2と、同価格帯の市場にある3Dプリンターに比べて10倍の速度と10倍以上の加速度を実現する。働き改革などで時間的制約のある中で、G-ZEROを使えば2時間で造形し定時に退社できるとなれば、ユーザーも試作(造形)~評価のイテレーションを迅速化できる。大塚化学のチタン酸カリウム(TISMO)配合の機能性樹脂材料「ポチコン3DPフィラメント」(https://www.otsukac.co.jp/products/chemical/filament/)など強度・耐熱性に優れた材料が使用可能で、試作開発から治具、最終製品まで幅広く対応可能な3Dプリンターとなっている。今回の展示では、従来金属部品を使う必要があったロボット可動部品など、高い機械強度や優れた寸法安定性、表面平滑性を実現できるポチコン3DPフィラメントを用いてG-ZERで造形した実用部品を多数披露した。

グーテンベルク 高速FFF方式3Dプリンター「G-ZERO」 TCT2023 月刊ソフトマター
高速FFF方式3Dプリンター「G-ZERO」
グーテンベルク 大塚化学 ポチコン3DPフィラメントを用いてG-ZEROで造形したロボットアームなど実用部品 TCT2023 月刊ソフトマター
ポチコン3DPフィラメントを用いてG-ZEROで造形したロボットアームなど実用部品

 

 山形大学 ソフト&ウェットマター工学研究室(https://mech.yz.yamagata-u.ac.jp/lab/zairyo/furukawa_lab.html)は昨年12月に生後6ヵ月〜2歳の子どもを対象に実施した、やわらかセンサーで測った赤ちゃんの肌のやわらかさを基に、3Dゲルプリンターを使ってその赤ちゃんの顔の起伏や肌の弾力などを高強度ゲルで再現して後々まで残そうという共同実験企画「やわらか記念写真」について紹介した。3Dデータを基に、世界初のバスタブ型3Dゲルプリンターの進化版であり30分で造形が可能な「GelPiper mini」が、ゲルの乾燥粉末と、水溶性アクリルモノマー、架橋剤、UV重合開始剤の水溶液の高強度ゲル原料にUVを照射し、赤ちゃんの顔を3D造形する。やわらかセンサーにより、それぞれの赤ちゃんの肌のやわらかさを簡単に瞬時に測定し数値化し、含水率を変えることで造形した3Dゲルのやわらかさを数値に従い調整。赤ちゃんの顔写真がプリントされたパウチ内に同3Dゲルを収納し位置決めすると、赤ちゃんの頬のプニプニの感触を残せる「やわらか記念写真」が完成する。

山形大学 世界初のバスタブ型3Dゲルプリンターの進化版「GelPiper mini」 TCT2023 月刊ソフトマター
世界初のバスタブ型3Dゲルプリンターの進化版「GelPiper mini」
山形大学 「やわらか記念写真」と中身の3Dゲル TCT2023 月刊ソフトマター
「やわらか記念写真」と中身の3Dゲル