農業施設学会シンポジウムが開催、 古川英光氏(山形大学)が3Dフードプリンターをテーマに講演

2022年06月17日(金曜日)

 6月7日~10日に東京都江東区の東京ビッグサイトで開催された「FOOMA JAPAN 2022(国際食品工業展)」(主催:日本食品機械工業会)会期中の6月7日、「農業施設学会シンポジウム」(主催:農業施設学会、講演:日本食品機械工業会)が“フードテックで切り拓く未来の食のかたち”をテーマに開催された。ソフトマター関連では、山形大学 古川英光教授が「食の課題解決に挑む3Dフードプリンター」と題して講演を行った。

 講演ではまず、山形大学 古川研究室(ソフト&ウエットマター工学研究室(SWEL))で開発した安心・安全で食品ロスゼロの「粉末3Dフードプリンター」の技術や利点について紹介。3Dフードプリンターから生まれる食品が安全な理由として、原料は自然由来の食品粉末と水だけで、火を使わずにレーザー光で加熱調理できること、食品安全性をクリアした材料で装置開発がなされていることなどを挙げた。

 今後の構想として、2050年までに食糧の無駄をなくし健康・環境に配慮した合理的な食糧消費を促す解決法を開発する目的で「レーザークック株式会社」を設立準備中であること、自分の好みの味が手に入り自分のヘルスデータと連動した自分に合った食材・栄養を最適化できるといった来客のメリットや、すべての人に最適な食を提供できる、顧客のロングテールニーズに対応できるといったコンビニのメリットが得られる“3Dプリンターをセンターとする未来のコンビニエンスストア”などについて披露したほか、イーロン・マスクの火星移住計画の際にスターシップに粉末3Dフードプリンターを積んで藻類スピルリナ粉末などを原料に宇宙食の生産に役立てるといった可能性も示唆した。

 また、自身が会長を務める「やわらか3D共創コンソーシアム」での徹底した議論に基づく未来ビジョンにおいても、3Dフードプリンターをセンターに置いた、誰もがおいしく、健康的で、自分好みの、その場調理による温かい作り立てフードを楽しめる地産地消・フードロスゼロの未来のコンビニは、地域の食生活に活力や笑顔をもたらす、と総括した。

古川英光氏 食料施設学会シンポジウム 月刊ソフトマター
講演を行う古川氏