東レ、柔軟性・復元性を両立する伸縮性フィルムを開発

2019年11月19日(火曜日)

 東レは、容易に変形できる優れた柔軟性と変形させても元通りに戻る高い復元性を両立した伸縮性フィルムを開発した。本開発品は加工適性も優れており、折り畳みや巻き取り可能なディスプレイ、ウェアラブルデバイスなどの幅広い分野への適用が期待される。同社では現在、量産技術確立を進めており、2020年をめどに本格展開を行う計画だ。

 近年、折り畳みや巻き取りが可能なディスプレイや、衣服や肌に装着させて生体情報を収集するウェアラブルデバイスが実用化されている。これらのデバイスは、様々な環境下で繰り返し変形した時の復元性、衝撃吸収性などを必要とするため、容易に変形できる優れた柔軟性と変形させても元通りに戻る高い復元性を両立するフィルムが求められている。しかし、従来技術では柔軟にしようとすると、復元性に必要な分子構造上の「つなぎ止める部分」が不足し、柔軟性と復元性がトレードオフの関係になるため、両立させることは困難だった。

 同社では、独自のポリマー設計と製膜技術を用いることで、わずかな力で変形できる優れた柔軟性と、元の長さの2倍に引っ張る変形を繰り返してもヒステリシスなく元通りに復元し、変形後、長時間保持しても復元する高い復元性を両立した。さらに、-20℃~80℃の低温から高温の幅広い温度範囲でこの特性を維持することも確認している。

 また、同フィルムはフィルム表面への塗布、印刷、貼り合わせなど様々な加工に求められる、耐熱性、印刷適性、表面形状の自由度を有し150℃での乾燥、熱処理が可能な耐熱性とスクリーン印刷やインクジェット印刷が可能な印刷適性(密着性)を実現したほか、高平滑からマット(ツヤ消し)や凹凸形状まで、用途や加工工程に合わせてさまざまな表面形状への対応を可能にしており、今後、各種デバイスへの適用が期待できる。