三洋貿易、不織布向け客観評価などにソフトネス測定装置を拡販

2019年10月10日(木曜日)

 三洋貿易は、製紙工業向けにすでに納入実績のある独emtec社製のソフトネス測定装置「Tissue Softness Analyzer Model TSA」(TSA)について、高齢化などを背景に需要の高まっている紙おむつなど不織布・繊維工業向けなどへの拡販を強化している。
 

ソフトネス測定装置TSA

 

 ティッシュや不織布等の薄層サンプルのソフトネス(手触り感)は、基本的な品質パラメーターで、人による官能評価が用いられている。試料表面上で手を動かす、手によって試料をクシャッと掴むことなどで、手から数種の振動や変形に対するせん断力や抵抗力を感じるものだが、ISOなどで定義された触れ方、評価法はない。

 こうした官能評価、つまりパネルテストによる手触り感評価(ハンドフィール)は①本当のやわらかさ、②クリーピングやエンボスなど滑らかさ/粗さ、③剛性という基礎的な3要因の混合した評価になるが、人間は個人差や男女差、人種差、その日の気分や天気といった個々の要因を分離できずに評価が客観性に欠ける上、パネリストの人件費も多大にかかる。

 これに対しソフトネス測定装置TSAは、1回の測定で①本当のやわらかさTS7と滑らかさ/粗さTS750を評価できる「音響測定」、②剛性Dを評価できる「変形測定」の2種の測定を実施、上記の関連する三つのパラメーターを独立して得られる。

 TSAの測定フローは、①サンプルを113mm程度の直径の円または角型にカット、②試料固定リングを用いて装置にサンプルをセット、③手触り感ハンドフィール値(HF値)計算時は、サンプルの厚さ、坪量を専用ソフトに入力、④PCより測定スタート、⑤ブレードが下がりサンプルを弱く加圧、⑥ブレードが回転、⑦回転後、より加圧、⑧サンプル回収、というもので、1測定にかかる時間は約1分。

 ブレードが繊維と接触するときに細かく振動して発生する音を測定プレードの回転により発生する音響強度と、応力を加えたときの縦変形を測定。音響測定では、本当のやわらかさ(強度小→やわらかい)、滑らかさ/粗さ(強度小→滑らか)を、変形測定では剛性/柔軟性(変形小→剛性強い)を個別に客観評価できるため、試料間の差の要因や目的とする項目の処方開発が可能となる。

 さらにティッシュ等では、手触り感ハンドフィール値(HF値)を得られた上記三つのパラメーターと、厚さ、坪量、プライ数から、アルゴリズムを用いて計算することが可能。ユーザーの実施するパネルテスト評価値と相関させるアルゴリズム開発も可能となっている。パネルテストから代替することで、パネリストの人件費と時間の削減とともに、客観的で迅速な測定を実現できる。

 三洋貿易ではすでに、製紙工業向けではティシュペーパー、トイレットロール、キッチンタオル、顔用ティシュ、ティシュハンカチなどのソフトネスの測定にTSAの納入実績を持つが、おむつ、マスク、生地など不織布・繊維工業向けソフトネス測定でのTSAの適用の提案を強化していく。
 

おむつ用不織布の測定例