花王 ヘアケア研究所・マテリアルサイエンス研究所・解析科学研究所は、洗髪などの物理的摩擦にも強いハイドロゲルの新素材を開発した。現在トリートメントに応用しており、今後はより幅広いヘアケア商品の開発などに活用する予定。
髪の外側を覆っているキューティクルには潤滑性があり、毛髪の絡まりやパサつきを防ぐ重要な役割を果たしている。しかし、キューティクルはダメージを受けやすく、繰り返されるダメージによって剥がれてしまうことがあります。そこで、潤滑性のある成分で毛髪表面の損傷部分を覆い、なめらかな感触にするような、剥離したキューティクルの機能を補う技術が開発されているものの、生活中の擦れや洗髪などで徐々に落ちてしまうことが課題となっていた。
これに対し花王は、"疑似キューティクル"となるような、生活中の擦れや洗髪に強くて高潤滑性を持つ素材の開発を目指し、これまでの毛髪と素材研究の知見を生かした新しい視点での検討を行った。
同社が素材として着目したのが、やわらかくてツルツルと滑る機能を持ち、化粧品の感触調整などに使用されるハイドロゲル。ハイドロゲルは、寒天やゼリーのような水を含んだ高分子物質の総称で、架橋と呼ばれる網目状のネットワーク構造によって水分を保持しているが、多くのハイドロゲルは物理的な摩擦に弱く、毛髪に使用した場合は洗髪によって徐々に流れ落ちてしまうため、耐久性の改善が必要とされていた。
そこで花王は、強いネットワーク構造を持つ、耐久性に優れた新しいハイドロゲルの開発を試みた。検討の結果、ポリクオタニウム-52(PQ-52)とアルギン酸Naからなるハイドロゲルに、ポリエチレングリコール(PEG)を加えることで、ハイドロゲル中に2種類のネットワークを形成できることを見いだした。