3Dプリンティング・アディティブマニュファクチャリング(AM)技術に特化した展示会・カンファレンスである「TCT Japan 2024」が1月31日~2月2日、東京都江東区の東京ビッグサイトで開催された。本誌関連では、グーテンベルク/大塚化学、ポリプラスチックスなどが出展した。
グーテンベルク/大塚化学のブースでは、従来製品の最大10倍という高速造形を実現するグーテンベルクのFDM方式(材料押出方式(MEX)で樹脂フィラメントを用いた方式)の3Dプリンター「G-ZERO」を用いて、チタン酸カリウム繊維「ティスモ(TISMO)」の優れた特性と各種熱可塑性樹脂の特性を巧みに組み合わせた独自の高機能複合材料「ポチコン(Potassium Titanate Compound)」の特長を生かしたままフィラメント化した大塚化学の「ポチコンフィラメント」の性能を引き出して高速・高強度・高精度造形した、ロボットアームなどの種々のサンプルを展示した。ブースでは今回、白色ポリアミド(PA)のポチコンフィラメントを用いた造形サンプルのほか、ユーザーからの要求が高い黒色PAのポチコンフィラメントを用いた造形サンプルも展示した。
PAポチコンフィラメントを用いてG-ZEROで造形品を検証した結果、従来機比5倍の高速造形で造形品の強度(曲げ強度)が20%向上し、吐
出速度×樹脂冷却速度の相乗効果、Z軸方向強度も向上していることが確認されている。
両社は今回、現行のG-ZEROの特徴である高速・高精度を維持しながら、造形エリアを約2倍の360mm×250mm×230mmまで拡大した新型3Dプリンター「大型版G-ZERO(名称未定)」を初披露した。ポチコンフィラメントとの組み合わせにより、これまで分割せざるを得なかった大型の部品も高強度に、高精度・高速で造形できる。
ポリプラスチックスは、ポリアセタール樹脂「DURACON® POM」フィラメントを使ったFDM方式3Dプリント(3DP)技術を紹介した。3DP造形品でありながら射出成形品に近い物性を発現可能なため、金型不要で物性・機能・耐久性等の予備評価にも適用でき、製品開発サイクルの高速化に貢献する。
熱可塑性樹脂材料を用いた代表的な3DP技術であるFDM方式では樹脂フィラメントを材料とし、微小なノズルから溶融吐出しながら描画・積層を繰り返して立体構造を得るが、従来FDM方式3DPに適用可能な樹脂種は、非晶性樹脂もしくは結晶化度の低い樹脂に限られており、結晶化度が高く結晶化速度が速いPOMのFDM方式3DPへの適用は、収縮・反り変形発生の制御やステージ剥がれの抑制が極めて困難であり、十分な実用化に至っていなかった。同社ではPOMのグレード選定の適正化と結晶化挙動に最適化された造形条件との組み合わせにより、DURACON® POMのFDM方式3DP技術を確立。
本技術では3DP造形品でありながら射出成形品に近い物性の発現も可能となっている。同社では今後、強化系グレードも含めた3DP用DURACON® POMフィラメント材料の更なる材料開発を進めながら、新たな技術ソリューションとしてのDURACON® POMの3DP造形技術の提供を目指す。ブースでは、INTAMSYS の独立式デュアルノズルシステム搭載の3Dプリンター「FUNMAT PRO 310」(INTAMSYS日本総代理店のフュージョンテクノロジーが取り扱い)での造形デモンストレーションが実施された。