東レは、微量血液からアレルゲン特異的IgE抗体を複数項目同時かつ高精度に測定することが可能な、アレルギー検査用バイオチップの開発に成功した。
同社では本バイオチップにより、多量の採血が難しい小さな子供をはじめとする患者の負担軽減と、医療現場におけるより正確なアレルギー診断の実現に貢献していく考えで、今後、アレルギー患者検体を用いた大規模検証を行い、早期の体外診断用医薬品の認証申請を目指す。
食物や花粉などのアレルギー疾患は、日本人の2人に1人が罹患している国民病であり、特に乳幼児から若年層の罹患率は増加傾向にある。また、幼児期は複数項目のアレルギーを併発することが多いと言われている。
アレルギー疾患を判定する手法として、血液中のアレルゲン特異的IgE抗体量を測定する体外診断用医薬品が医療現場で広く用いられているが、患者負担を軽減するため、微量血液から複数項目のアレルゲン特異的IgE抗体を同時測定する場合、血液中のタンパク質や細胞などの夾雑成分による妨害のため、正確に測定することができないという課題があった。
これに対し同社では今回、これまでに開発した、血液中に極微量含まれる複数種類の遺伝子を同時に検出できる高感度DNAチップ「3D-Gene®(スリーディージーン)」のマイクロアレイ技術や、血液透析患者用の人工腎臓開発において培った、血液成分の付着を防ぐ低ファウリング高分子材料技術などを融合することで、微量血液による複数項目のアレルゲン特異的IgE抗体同時測定において高精度な測定を実現した。社内検討の結果、20マイクロリットルの血液から多項目のアレルギー同時測定で、単項目測定タイプの既存体外診断用医薬品との定量相関性が95%以上となることを確認している。