ダイセル・エボニック、PEEK樹脂が波動歯車に採用

2020年12月01日(火曜日)

 ダイセル・エボニックのPEEK樹脂「ベスタキープ®-J」が、NPG研究所の波動歯車の外歯車部材として採用された。減速機構の軽量化とコスト低減に寄与できる。

 NPG研究所の波動歯車は、その主要構成部品にプラスチックを用いた非金属製の同軸減速機。 従来同種の減速機は、その動作特性と精密な部品形状から金属加工部品で構成されることが多く、高トルク、高剛性、高精度を実現する一方で、コスト面での課題を抱えていた。

 NPG研究所ではこのほど、外歯車にベスタキープ®-Jを用いることでプラスチックの強度と耐久性の問題をクリアするとともに、金属製品に比べ大幅な軽量化とコストダウンを実現した新たな波動歯車を開発したもの。

 外歯車は1mmほどの薄肉形状で、非常に厳しい耐疲労性・耐摩耗性と高い寸法安定性が要求される。ベスタキープ®-Jはそれらの要求に応えるだけでなく、複数粘度のグレードバリエーションの中から部品形状に適した製品選択が可能になるため、部品設計の自由度と量産性の最適化にも貢献する。

 現在、金属製の波動歯車は産業ロボットに広く採用されているが、樹脂化による軽量化とコスト低減により、生活に身近なサービスロボットや、動力を必要とする家電や自動車などへの応用、将来性のある産業への展開を見据えている。

ベスタキープ-J(右から二つ目)の外歯車を用いた波動歯車(提供:NPG 研究所)
ベスタキープ-J(右から二つ目)の外歯車を用いた波動歯車(提供:NPG 研究所)