ダイセル・エボニック、ポリアミド12樹脂と透明微結晶樹脂が熱可塑性プリプレグを用いたハイブリッド成形材に採用

2020年12月01日(火曜日)

 ダイセル・エボニックのポリアミド12樹脂「ダイアミド®」と透明微結晶樹脂「トロガミド®」が、八木熊の連続繊維(炭素繊維/ガラス繊維)を用いたハイブリッド成形の射出樹脂として採用された。

 八木熊が開発した熱可塑性プリプレグと射出成形法とのハイブリッド成形は、熱可塑性プリプレグ材を射出成型金型にインサートし充填成形する。この製法は、ポリプロピレン(PP)から高耐熱樹脂までのあらゆる熱可塑性樹脂をマトリックス材として使用可能にしている国内唯一の量産前提の技術。 従来の熱可塑性コンポジット法と比較して、短時間で製造が可能な射出成形法とプリプレグ材とをハイブリッド化することにより、生産性を画期的に向上させ、コスト低減を実現する。さらに一般的な短繊維補強材では得られない高い強度が必要とされる部位に付与することも可能になり、強度設計の自由度を向上させる。

 ダイアミド®は構造材に靭性を付加するため、高い弾性を必要とする部材に適し、低融点であることで高生産性にも寄与。 ダイセル・エボニックでは、靭性が要求される分野、例えばスポーツ用途などへの展開も視野に入れている。

 トロガミド®をマトリックス材とした構造材は、トロガミド®の透明性と容易な着色性によりデザイン性に優れ、加えて耐薬品性を持ち合わせている。ダイセル・エボニックでは「魅せるプリプレグ」としての新たな分野の開拓を目指す。

 同社では、金属代替を可能とする熱可塑性コンポジットと生産性の高い射出成形法とのコラボレーションで確立されたこの技術により、各種のユーザーニーズに対応しつつ新分野の開拓を進めていく考えだ。

ダイセル・エボニック図1
図1 ダイアミドをマトリックス材としたプリプレグの靭性のグラフ:非強化樹脂に比べ、特殊ガラス繊維で強化したプリプレグは、弾性率が約10倍に強化され、破断点応力も3倍以上強度がアップする

 

ダイセル・エボニック図2
図2 トロガミド、ダイアミドをマトリックスとした構造材(試験片):写真上左から、トロガミド、トロガミドと構造材、トロガミドをマトリックス材とした構造材、写真下左から、ダイアミド、ダイアミドとの構造材

 

ダイセル・エボニック図3
図3 ハイブリッド成形の各工程(資料提供:八木熊)