NOKのグループ会社である日本メクトロンは、LCP(液晶ポリマー)ベースのフレキシブルプリント回路基板(FPC)に加え、変性ポリイミド(MPI)を用いた新たな構造の高速伝送用FPC「MPI FPC」を開発、このほど量産体制を確立した。
高速伝送用FPCは、第5世代高速通信規格(5G)に適応する端末の開発に不可欠な技術。5Gは、高速・大容量、多数の同時接続、信号の低遅延を可能にする通信技術として注目されているが、通信の際、伝送路となるFPCには、伝送損失を抑える誘電特性の優れた材料が求められている。その特性を満たしているLCP FPCがすでに実用化されているが、価格と折り曲げ性に課題があった。
そこで日本メクトロンは、MPIと低誘電接着剤を組み合わせることで、LCP FPC相当の優れた伝送特性を実現。さらに、LCP FPCに比べ耐折り曲げ性や耐熱性を向上させることに成功した。新たに開発した構造に汎用性のある材料を組み合わせることで、競争力のある価格での提供を予定している。開発品はUSB4.0やPCI Expressなどのシリアル通信規格へ適合しているほか、ミリ波モジュール用アンテナ、Sub6含む各種アンテナ、5G基地局、データセンター、コネクティッドカーなどアナログ、デジタル信号を使う幅広い用途へ活用できる。
日本メクトロンでは、技術を通じて社会に貢献することを目標に、MPI FPCに続いてさらに高周波帯域の伝送特性に優れた、低誘電損失のフッ素樹脂を用いたFPCの提供を2021年に開始する予定だ。