パテント・リザルトは、化学業界を対象に、2019年の特許審査過程において他社特許への拒絶理由として引用された特許件数を企業別に集計した「化学業界 他社牽制力ランキング2019」をまとめた。この集計により、直近の技術開発において競合他社が権利化する上で、阻害要因となる先行技術を多数保有している先進的な企業が明らかになる。
集計の結果、2019年に最も引用された企業は、富士フイルム、次いで三菱ケミカル、花王となった。
1位富士フイルムの最も引用された特許は「有機電界発光素子」に関する技術で、半導体エネルギー研究所の18件など合計19件の審査過程で引用されている。このほかには「無機結晶性配向膜及びその製造方法、半導体デバイス」に関する技術などが引用された件数の多い特許として挙げられる。2019年に、富士フイルムの特許によって影響を受けた件数が最も多い企業は、キヤノン(313件)、次いでコニカミノルタ(170件)、リコー(122件)となっている。
2位三菱ケミカルの最も引用された特許は「白色発光装置及び照明器具」に関する技術で、GENERAL ELETCTRICなどの計7件の審査過程において引用されている。このほかには「画像表示装置用透明両面粘着シートおよび画像表示装置」に関する特許や「蛍光体及びその製造方法と、その蛍光体を用いた蛍光体含有組成物及び発光装置、ならびに、その発光装置を用いた画像表示装置及び照明装置」に関する特許などが引用された件数の多い特許として挙げられる。2019年に三菱ケミカルの特許によって影響を受けた件数が最も多い企業は住友化学(53件)、次いで東レ(49件)、日立化成(35件)となっている。
3位花王の最も引用された特許は「磁気記録媒体及びその製造方法」に関する技術で、富士フイルムの「磁気テープ」関連特許など、計16件の審査過程において引用されている。2019年に花王の特許によって影響を受けた件数が最も多い企業は、P&G(THE PROCTER & GAMBLE)の78件で、王子ホールディングス(57件)、LOREAL(47件)となっている。
そのほか、4位積水化学工業は「基板穴埋め用熱伝導性ペースト組成物、およびプリント配線基板」、5位日東電工は「粘着型偏光板および画像表示装置」が、最も引用された特許として挙げられる。