山形大学では、3Dプリンターによる加工技術と研究が強みである工学部ソフト&ウェットマター工学研究室(SWEL、研究室代表:古川英光氏)で製作した「医療用フェイスシールド」を、医学部附属病院(山形市)へ提供する学内連携を開始した。
医学部附属病院は、新型コロナウイルス感染症への対応を行いつつ、がん治療などの高度医療を提供する特定機能病院としての役割を果たしている。マスクや防護服などの医療資材が全国的に入手困難となっている中、医学部附属病院でも同様の問題を抱えており、ゲル素材や介護食など、3Dプリンターで先端研究を進める工学部(古川英光研究室)に本年4月フェイスシールドの製作を依頼。SWELでは強みの3Dプリンター・高速生産技術で、医療現場の資材不足を解決すべく新規開発を行い、5月1日に医学部附属病院へ第一弾として約 100 個の供給を開始した。
今後は使用状況を確認しながら、5月末までに約1000個 のフェイスシールドを継続的に供給していく予定だ。
開発した山形大学フェイスシールド「Yamaガード Type A」は、一般向けを想定して製作、メガネをしたままでも使用できる。また、「Yamaガード Type G」は ゴーグルをつけたまま使用することを想定して製作されている。
古川英光教授は、「医学部付属病院 欠畑誠治教授からお声掛けをいただき、現場の情報提供や開発への熱いアドバイスで、当研究室の川上 勝・准教授が3Dプリンターとレーザーカッター等を活用して、超短期間の試行錯誤で、迅速設計と高速生産を実現した。米沢を発祥の地とする帝人より高透明PC(ポリカーボネート)シートの提供を受け、川上先生の設計したフレームで製作した、山形大学オリジナルモデルになる。すでに設計データはWEB上で公開し(Facebookの「3D PRINT FACE SHIELD」グループ)、山形発の新型コロナウイルス対策の事例を発信するとともに、今後も改良、地域の学校や企業との連携を進めていきたい」と語っている。