JASIS2019開催、ソフトマターの分析・評価関連製品・技術が披露

2019年10月02日(水曜日)

 日本分析機器工業会と日本科学機器協会は9月4日~6日、千葉市美浜区の幕張メッセ国際展示場で、分析機器・科学機器の総合展示会「JASIS2019」を開催した。478社、1423小間の規模で出展、3日間で23409名が来場した。ここではソフトマターの分析・評価に関する製品・技術展示について紹介する。

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開催のようす

 大塚電子は、小角光散乱法を用いて、高分子やフィルムの構造をIn-situ、リアルタイムに解析できる「高分子相構造解析システム PP-1000」を展示した。X線や中性子線を用いた装置と比べて、より大きな構造(μmオーダー)の評価が可能なほか、偏光板を用いたHv散乱測定からは光学異方性の評価や結晶性フィルムの球晶径の解析、Vv散乱測定からはポリマーブレンドの相関長の解析が行える。散乱角度0.33~45°の測定を最短10msecで測定可能なほか、サブミクロン~数100μmの構造を評価。専用の溶液セルで溶液サンプルも測定可能で、Hv散乱・Vv散乱測定をソフト上で簡単に切り替え可能。

大塚電子「高分子相構造解析システム PP-1000」

 

 サーモフィッシャーサイエンティフィックは、品質管理の幅広いニーズを満たす高度な柔軟性と使いやすさを備えたレオメーターシステム「HAAKE™ MARS™ iQ 回転式レオメーター」を披露した。モジュール設計と豊富なアクセサリーのラインナップにより、水のようなサンプルから半固体まで、直観的で、フレキシブルで信頼性の高いレオロジー測定を実現する。装置搭載のタッチスクリーンにより、SOP(標準作業手順)をレオメーターから簡単に実施でき、「コネクトアシスト」機能により、確実に測定を実施できる。アプリケーションに応じて、ボールベアリングシステムまたはエアベアリングシステムのいずれかが選択できるなど、多彩な付属品により、多様化する QC ラボでのニーズに対応できる。

サーモフィッシャーサイエンティフィック「HAAKE™ MARS™ iQ 回転式レオメーター」

 

 新東科学は製薬メーカーや塗料メーカー、大学・公的研究機関などでソフトマターの撹拌に60年以上の実績を持つ「スリーワンモータシリーズ」として、防爆雰囲気でも使用できる耐圧防爆撹拌機「TYPE:SAシリーズ(仮称)」を披露した。実験室でもそのまま使用できる耐圧防爆撹拌機のため、1種場所(ZONE1)、2種場所(ZONE2)の危険な場所での撹拌が可能。モータを使用しているため回転表示を確認しながらの細かい回転調整も可能で、エアモータでは不可能だったフィードバック機能を搭載しているため、トルク変動しても回転数を維持して撹拌することを可能にしている。幅広い撹拌に対応できる4機種を用意。来年1月に発売予定。

新東科学 「TYPE:SAシリーズ(仮称)」

 

 パーキンエルマーグループのPertenおよびDeltaの総代理店エヌエスピーは、「ラピッド・ビスコ・アナライザーRVA4800」を紹介した。製品開発、品質・製造の管理、品質保証におけるユニークなツールであるRVAは、デンプンや穀物、小麦粉、そのた食品の粘度特性の測定に最適化された自在な温度管理と回転条件の設定が可能な回転粘度計で、測定は2~3gという少量から行え、国際的な標準法で用いられており、回転も想定時間も加熱も冷却もすべて任意の条件で測定できる。

エヌエスピー「ラピッド・ビスコ・アナライザーRVA4800」

 

 堀場製作所は、「ナノ粒子解析装置nanoPartica SZ-100V2」を披露した。ハイパワーレーザー(100mW)を搭載することで、より充分な散乱光を得ることが可能となり、さらに、光学系レイアウトの改良によってノイズが減り、測定感度も従来モデル比で約15倍にアップ、高濃度・低濃度試料も計測が可能。シングルナノ粒子のマルチ要素解析を明確・簡単に1台で、「粒子径・ゼータ電位・分子量」のパラメータを高感度・広範囲に分析。粒子径測定レンジ(0.3nm〜10,000nm)とゼータ電荷のレンジ(-500mV〜+500mV)が向上。蛍光除去、光源波長や出力強度変更などカスタマイズが可能で、人工軟膏、3Dプリンタの材料であるゲルを評価するモデルでは、ゲル中の多点の測定機構と、ゲルに特化した演算方式を採用することでゲルの網目構造を簡便に解析できる。

堀場製作所「nanoPartica SZ-100V2」

 

 リガクは、「感覚を科学する」をテーマに「嗅覚(香り)」「味覚」「触感」など、感覚を観る、につながる分析・測定例を特設コーナーで紹介。技術セミナーと併せて、タオルのふんわり感・カラッと感を高分解能CTで解明した研究を紹介したほか、化粧品に含まれる香料の三次元分子構造の決定や、ナノグラムオーダーで存在する銀系抗菌剤の測定例も紹介。さらに、原子や分子の並びの形や、数ナノから数百ナノメートルまでのコロイドの大きさなどが分かる手法であるX線回折法を、食品のおいしさや食感の物理的な要因の解明に応用した例を紹介した。

リガク ブースのようす