大王製紙、高透明度のCNF製造技術の開発に成功

2018年08月28日(火曜日)

 大王製紙は、透明度の高いセルロースナノファイバー(CNF)製造技術「亜リン酸エステル化法」の開発に成功した。9月より、これまでの同社従来品に新たに高透明度のCNF「ELLEX(エレックス)-☆(スター)」を加え、用途開発を加速する。

 同社は、2013年から繊維幅が数十nmのCNF水分散液のサンプル提供を開始した。2016年にはCNF事業化に向けた課題である製造コストの低減を目的に、省エネルギー型CNF製造プロセス開発のためのパイロットプラント(年間100t)を稼働させ、用途に適応したコスト競争力のあるCNF製造技術の開発を進めている。サンプルは、現在までに400社程度に提供し、CNF添加の効果が確認されたコンクリート、塗料等の分野でユーザーと共同で用途開発に取り組んでいる。

 また、樹脂・ゴムとの複合化に適したCNF乾燥体、高強度・熱特性に優れるCNF成形体といった水分散液とは異なる形態でのサンプル提供も行っており、自動車用部品、電化製品、塗料、食品、化粧品、紙・板紙や家庭紙製品などへの用途展開を目指して開発を進めている。

 一方、化粧品、塗料、インキ等の意匠性が要求される用途やフィルム、ディスプレイ等の光学系材料においては、透明性に対する要望も高く、これらのニーズに合ったCNF製造技術の開発も行ってきた。今回開発に成功した「亜リン酸エステル化法」は、繊維幅3~4nmまで容易に微細化でき、高い透明性を有するCNFを製造できる技術であることから、従来の同社CNFでは難しかった用途への展開が期待できるという。今後、サンプル提供を通じて、このCNFの特徴を見出し、用途展開を進めていくとともに、量産技術の開発に取り組んでいく予定。

CNF品質データ
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