ダイセル・エボニックのPEEK樹脂「ベスタキープ」がこのほど、ケミテスの高機能プラスチック製高速液体クロマトグラフィー用のカラム管に採用された。同PEEK樹脂が汚染物質を溶出しないことやその優れた耐薬品性と機械的強度、さらには射出成形によって高い生産性を実現できることなどが評価されたもの。
液体中の成分を分離・検出する高速液体クロマトグラフィー(HPLC)は、医薬、食品、環境、化学、輸送機器などあらゆる分野で広く使用されているが、HPLCの分析技術の向上により、従来のステンレススチール製カラムからわずかに溶出する金属イオンやカラム管への成分の吸着が問題視されるようになってきている。
これに対しダイセル・エボニックのPEEK樹脂ベスタキープ製のカラムでは、こうした汚染を防止できるほか、測定中に35MPaという高圧の有機溶媒が通過してもカラム本体が変形しない高い剛性を保持する。
従来の PEEK 製カラムは押出成形後に切削工程を経て製造されていたが、このたびベスタキープを用い射出成形することにより、大幅な生産性の向上を実現している。
また、100MPaの超高圧タイプのカラム用には、ボディの外層に金属、内層にベスタキープを使用することにより、金属とカラム内部の物質が直接接触するのを防ぐ。