NEDOと星光PMC、セルロースナノファイバー複合材料が最新ランニングシューズに採用

2018年06月28日(木曜日)

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のプロジェクトの成果をもとに、星光PMCが開発したセルロースナノファイバー(CNF)複合材料「STARCEL®」がランニングシューズに採用された。

 STARCEL®は、NEDOプロジェクトにおいて、京都大学を主体とする産学連携グループがCNF補強の樹脂材料とその製造プロセスの開発(京都プロセス)に取り組んだ成果をもとに、星光PMCが2018年1月に商業生産を開始したCNF複合材料。今回、アシックスの最新ランニングシューズ製品「GEL-KAYANO®25(図1)」のミッドソール部材の原材料の一部に採用され、世界規模で販売されるCNF適用シューズとして世界初の商品発売となった。

GEL-KAYANO®25
GEL-KAYANO®25

 CNFは、持続型木質バイオマス資源由来の、軽量、高強度、低熱膨張のナノ繊維であり、樹脂補強繊維としての利用が期待されており、NEDOは、これまでCNF補強の樹脂材料とその製造プロセスの開発を行う研究開発テーマを実施してきた。具体的には、京都大学を主体とする産学連携グループが、CNF補強の樹脂材料の開発と、木材パルプに化学処理を施した変性セルロースをポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)などの樹脂と混練し、同時にナノ解繊する京都プロセスの開発に取り組んだ。この研究開発の成果をもとに、星光PMCは独自に改良を重ね、CNF複合材料の製品化に成功し、「STARCEL®」として、2018年1月から商業生産を開始している(図2)。同品は、高強度、熱膨張しにくいといった優れた特性を有している。

図2  STARCEL®製造プロセス(京都プロセス)
図2 STARCEL®製造プロセス(京都プロセス)

 今回STARCEL®が採用されたGEL-KAYANO®25のミッドソール(甲被と靴底の間の中間スポンジ材)には、軽量性とクッション性を兼ね備えた発泡素材「FlyteFoamTM Lyte(図3)」が使用されており、この原材料の一部に気泡を補強する素材としてCNF複合材料「STARCEL®」が採用されたもの。

図3 FlyteFoam Lyteの拡大図
図3 FlyteFoam Lyteの拡大図

 CNF複合材料は、スポーツ用品だけでなく、自動車や家電、建材など、さまざまな分野への応用が期待されている。NEDOは、CNFの一貫製造プロセスの開発を引き続き推進し、今後、これらの用途への社会実装に向けた取り組みを進めていく。