大林組は、施工中の熊本城天守閣の耐震改修工事に、住友ゴム工業が製作した制震ダンパーを採用する。
住友ゴム工業の制震ダンパーは、自動車のレース用タイヤで培った先進技術で開発した高減衰ゴムを使用しており、地震エネルギーを瞬時に熱に変換することで、揺れを吸収する粘弾性ダンパー。今回採用が決まった制震ダンパーは、3枚の鋼板の間に板状の高減衰ゴムを強力に接着したもの(図1)。この高減衰ゴムは戸建て住宅用制震ユニット「MIRAIE(ミライエ)」にも使われており、熊本地震でもその効果を発揮した。
この制震ダンパーは、大地震やその後の余震のほか、日常的な風揺れにも有効だという。また、コンパクトでありながら充分な制震効果を得られることも特徴。天守閣では方杖状に設置することで、筋交いのように壁全面を使うことなく開放感のある空間を確保できる。さらに、ゴムの復元性を活かし、繰り返し起こる余震にも有効。長期にわたってメンテナンスが不要なため、優れた耐久性で地震に備えることができる。
制震ダンパーの設置場所は、大天守最上階(6階)の柱上部と梁を方杖状に連結して取り付ける(図2)。そのため、空間を遮ることなく、制震効果を得られる。本工事では計12基を設置するという。