カネカ イスラエル社の脳血栓回収用機器の日本独占販売契約を締結

2024年01月09日(火曜日)

 カネカは、イスラエルの医療機器企業Rapid Medical 社と経皮経管的脳血栓回収用機器(ステントレトリーバー)「Tigertriever®」の日本における独占販売契約を締結した。急性期脳梗塞領域の製品ラインナップを拡充していく。

カネカ ステントレトリーバー「Tigertriever」 月刊ソフトマター
ステントレトリーバー「Tigertriever」

 

 一般的に、脳血管に詰まった血栓によって血流が途絶え脳の細胞・組織が壊死してしまう「急性期脳梗塞」を発症すると、脳血管内に詰まった血栓が血流を低下させ、時間の経過とともに脳組織に深刻なダメージを与えるため、早期に血栓を除去して血流を改善させる必要がある。ステントレトリーバーは、カテーテルの先端に付いたステント(金属でできた網目状の筒)で、脳血管内の血栓を回収し、血流を再開通させる医療機器だが、現在、国内で流通しているステントレトリーバーは自己拡張型で、血栓を回収するにあたり血管内で拡張したステントが血管壁を損傷することがある。

 これに対しカネカが今回契約を締結したTigertriever®は、ステント開閉を自在に調節できるユニークな機構が特徴で、脳血管内の血栓を絡めて回収し、血管への負荷を最小限に抑えることが可能で、この特徴を持ったステントレトリーバーの国内での導入は初となる。


 ステントレトリーバーの2022年度の国内市場規模は50億円で、今後も拡大していくことが見込まれており、カネカでは脳血管領域で培った人脈や実績をもとに、2024年春以降の市場展開を予定している。

 今後、脳血管領域で脳動脈瘤塞栓用コイル(破裂・出血リスクのある脳血管のこぶにカテーテルを通して送り込み、血液が入らないようにする医療機器)「i-ED COIL®」の販売を拡大させるとともに、本製品などラインナップを拡充し、同領域での事業伸長を目指す。

 カネカでは、重点化するヘルスケア領域において、メディカル事業の成長を通して、健康課題の解決へ向けたソリューションを世界に提供していく。