第13回オートモーティブワールドが開催

2021年03月09日(火曜日)

 「第13回オートモーティブワールド(クルマの先端技術展)」が1月20日~22日、東京都江東区の東京ビッグサイトで開催された。ソフトマター関連では、以下のような出展があった。

第13回オートモーティブワールドのもよう
第13回オートモーティブワールドのもよう

 ユニチカ は、独自の高純度重合法により、非常に高い結晶性を有した、植物由来の高耐熱ポリアミド10T樹脂「XecoT®(ゼコット)」を提案した。ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)に近いクリープ特性やPEEKと同等の高温物性を実現。低摩擦を長時間維持し焼付きが発生しにくく低摩耗性が図れることから、ベアリング保持器やシールリング、ギヤ、プーリー、オートテンショナーなど自動車向け機構部品に適用可能であることをアピールした。そのほか、独自のメタリック・ピアノブラック原着材料による塗装レスのポリアリレート樹脂「Uポリマー®」や長年のナイロンコンパウンド事業で培った配合技術により、自動車軽量化に寄与する射出発泡成形用ナイロン樹脂、先進運転支援システム(ADAS)部品向け材料、高速・高容量化による発熱問題を解決する放熱ナイロンなどを紹介した。

XecoTの応用例
XecoTの応用例

 出光興産は、軽量・高耐熱・良電気特性のシンジオタクチックポリスチレン樹脂(SPS)「ザレックTM」と、高透明・高強度のポリカーボネート樹脂(PC)「タフロンTM」を紹介。特に車載照明向け光学グレード「タフロンTM LCシリーズ」を提案し、その優れた導光特性と色調で新たな照明の機能とデザインの実現をサポートできることをアピールした。長導光路における高い輝度と良好な色調、PC樹脂の高い耐熱性と強度を実現する。用途に応じて、標準タイプのLC1500(AMECA対応)、高耐久タイプのLC1505(高温環境下)、高強度タイプのLC1700(厚肉製品、AMECA対応)、超高流動タイプのLC1305(長尺製品)といったグレードをラインナップしている。

車載照明向け光学グレードのタフロンLC1500(右)
車載照明向け光学グレードのタフロンLC1500(右)

 IHI物流産業システムは、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)のトータルソリューションとして、素材から、熱可塑性プリプレグシート/テープという中間基材販売、成形プロセス(設備販売・プロセスチェイン構築)、自動車サスペンション部品など最終製品(CFRP)をラインナップしていることを紹介。開発した熱可塑性UDプリプレグは、入手性・大量生産・低保管コスト・リサイクル性で優位性がある熱可塑性樹脂PA6を使用し、高強度・高剛性、軽量化の両立を必要とする高強度構造部品に最適な中強度炭素連続繊維を採用しているほか、低価格・短ロット製造、多種熱可塑性樹脂で試作が可能な製造設備・プロセスを独自開発している。展示会では、同プリプレグを用いたCFRP成形品の試作例を展示したほか、ユーザーの要望に合わせた加工ソリューションを提案した。

CFRPプリプレグを用いたCFRP成形品の試作例
CFRPプリプレグを用いたCFRP成形品の試作例

 堀正工業は、天然素材による軽量化を実現できる、ヘンプ繊維をニードルパンチ製法で結合した軽量で強く耐久性のある部品材である「ヘンプ100%不織布」を紹介。化学薬品を全く使用せず栽培された麻から無駄無く加工され、環境負荷とカーボンインパクトを最小に保つ。グラスファイバーを用いたアプリケーションの優れた代替品で、カスタマイズ供給も可能とした。また、天然繊維とポリプロピレン繊維を50%ずつ混合した不織布で成形機により工業製品への成形が可能な「NF50/PP50不織布」、ヘンプファイバー 50%、PP 46%、PEWAX 4%の射出成型用ペレット「ネイチャー50ペレット」、ポリ乳酸(PLA)と木質粉末などの持続的で再生可能な原料からなるバイオコンポジット「ラティジア」、PLA等をベースに機能性のあるバイオ材を配合した100%生分解性を持つグレードで構成されたバイオコンポジット「アークバイオックス」などを紹介した。

ヘンプ不織布を用いた軽量スクーターボディー
ヘンプ不織布を用いた軽量スクーターボディー

 日本ピストンリングは、軟磁性粉末をプレス成形して製作するモータコアで自由形状、低コアロス、3次元磁気回路形成が特徴の「圧粉コア」や、3D形状圧粉コアを採用した扁平形状の薄型・高トルクモータである「アキシャルギャップ型モータ」を紹介。アキシャルギャップ構造、3D形状圧粉コアによる高トルク化によってインホイールモータとして使用することでダイレクト駆動を可能にするほか、ギヤレス化による機械損失の低減とギヤ音の削減を実現できる。今回はAirGAPを可変化し、広い出力範囲を取り出せるアキシャルギャップ型モータである「AirGAP可変アキシャルギャップモータ」を初披露したほか、外径130mmの「小型アキシャルギャップモータ」を紹介した。

薄型・高トルクのアキシャルギャップ型モータ
薄型・高トルクのアキシャルギャップ型モータ