「ハノーバーメッセ プレビュー2020プレスカンファレンス」開催、展示会のトレンドを紹介

2020年04月07日(火曜日)

 世界最大の産業技術見本市「HANNOVER MESSE(ハノーバーメッセ)2020」(主催:ドイツメッセ)に関して、2月12日に同国際見本市会場で「Hannover Messe Preview 2020プレスカンファレンス」が開催、世界中から約250人のジャーナリストが出席する中、展示会の概要と見どころが紹介された。

 なお、ハノーバーメッセ2020については新型コロナウイルス(Covid-19)の感染拡大に伴う世界的な公共機関や経済活動の制約などを背景に、3月27日に主催者のドイツメッセが開催中止を決めたが、以降の情報は、来年4月12日~16日にドイツ・ハノーバー国際見本市会場で開催される「ハノーバーメッセ2021」への継続テーマとして参照いただきたい。
 

ドイツ・ハノーバー国際見本市会場
ドイツ・ハノーバー国際見本市会場

 

 2月12日に開催されたプレスカンファレンスではまず、主催者であるドイツメッセCEOのJochen Köckler氏が「Overview, trends and topics HANNOVER MESSE 2020」のテーマで講演。デジタル化、個別化、環境保護、人口変動という四つのメガトレンドに対し、①産業用AI、②産業用5G、③製造およびロジスティックスのスマート化、④カーボンニュートラルな生産へのソリューションを示す。

 産業用AIに関しては、機械やシステムがつながり相互に情報を共有、状態監視やシミュレーションに役立てていく中で、データ活用は生産効率化の原動力としてAIや機械学習の必要条件としてますます重要になると説明。このため展示会では、フレキシブル生産およびB2Bプラットフォームのためのソフトウェア・ソリューションがアマゾン、グーグル、インテル、マイクロソフトなどから提案される。

 産業用5Gについては、産業のデジタルインテグレーションでは膨大な情報をリアルタイムに伝達しつつ高度なデータセキュリティ保持を実現する5Gが必要不可欠として、5Gネットワークによる産業応用のショーケースが設けられる。

 製造およびロジスティックスのスマート化では、製造ラインにおいて定時に正確な場所に正確な数量のワークの受け渡しを行う無人搬送車(AGV)の稼働デモンストレーションが行われる。

 カーボンニュートラルな生産へのソリューションでは、水素・燃料電池の技術や電気自動車のためのインフラ技術が紹介される。
 

Jochen Köckler氏
Jochen Köckler氏

 

 続いて、ハノーバーメッセ2020パートナーカントリーであるインドネシアを代表して、在独インドネシア共和国大使館 大使のArif Havas Oegroseno氏が、「Partner Country Indonesia」と題して講演。同国における70%という労働人口率の高さやGDP成長率の高さを示したのち、eコマースやフィンテック、eスポーツといったデジタルサービスが同国のインダストリー4.0の原動力となっているとした。

 同国は、インダストリー4.0の技術の導入とジョイントベンチャーの拡大を通じ、インドネシアの産業を近代化する「Making Indonesia 4.0」を推進しており、優先的に同国の主要産業である食品・飲料、繊維・アパレル、自動車、化学製品、エレクトロニクスといった五つの分野を重点的に強化している。この取組みを加速させるため、投資、技術、キャパシティー・ビルディング(能力の習得・構築)の三方面においてパートナーシップを模索しており、そのため展示会では、①インドネシアのこれまでの成果やインダストリー4.0の進捗度合いの提示、②上記三方面でのパートナーシップへの呼びかけ、③インドネシアのスタートアップ企業の産業向けエコシステムの紹介、④ドイツおよびEUでのインドネシア製品の市場拡大、⑤インドネシアのビジネスにおける協業姿勢などを訴求する考えを示した。
 

Arif Havas Oegroseno氏
Arif Havas Oegroseno氏

 

 さらに、マイクロソフト社 Azure industrial IoT Partner Program ManagerのChristoph Berlin氏が「Intelligent Manufacturing at Scale」と題して講演。デジタル化、デジタルツイン、産業分野向けモノのインターネット(IIoT)におけるコネクテッドインダストリーは、1個流しからのオンデマンド生産を可能にしているが、ネットワークから分離された「データサイロ(data silos)」が多くの企業で保有データの有効活用を難しくさせている。

 そこで同社ブースでは「Home of Industrial Pioneers」をテーマに、パートナー企業と共同で、幅広い産業分野で製品・サービスの新しい形を実現するためのプラットフォームとサービスを提案する。従来の枠組みを超えた新しいシェアリングエコノミーのためのオープン性、協調性を有するオープン・マニュファクチャリング・プラットフォーム(OMP)を紹介。メーカーとパートナー企業が共通のネットワークによって協働することでデータサイロの問題を解決、生産の最適化を阻害するITシステムの複雑な欠陥を克服できる。オープンな産業標準とデータモデルを用いることで、企業が保有するデータをフル活用でき産業用ITソリューションを迅速・確実に統合できる。

 また、制限のない分析サービス「Azure Synapse Analytics」を進化。データサイエンティストやディベロッパー、デザイナーがいなくても、個々のデータ解析を実行できるようにしたほか、Azureをベースに開発された産業用機械学習モデルのためのWeidmüller社のソフトウェアを紹介。機械学習分野の専門知識を必要とせずに使用でき、OMPを補完し産業における機械学習を拡張するほか、パートナーシップ・モデルを構築・促進する。
 

Christoph Berlin氏
Christoph Berlin氏

 

 なお、来年4月12日~16日開催のハノーバーメッセ2021に関する問合せ先は以下のとおり。


ドイツメッセ日本代表部 担当:竹生(たけお)
〒105-8522 東京都港区芝公園3-1-22 一般社団法人日本能率協会内
TEL:03-3434-6447 FAX:03-3434-8076
E-Mail:DMS@jma.or.jp