自動車技術会、人とくるまのテクノロジー展2019開催、ソフトマター技術が多数展示

2019年06月10日(月曜日)

 自動車技術会は5月22日~24日、横浜市のパシフィコ横浜で自動車技術展「人とくるまのテクノロジー展2019横浜」を開催した。エンジンの燃費改善に加え、ハイブリッド車(HEV)や電気自動車(EV)などの電動化、先進運転支援システム(ADAS)などに対応する最新の製品・技術が披露された。ソフトマター関連技術では以下の展示があった。
 

開催のもよう

 

 イグスは、金属製部品の1/7という比重の樹脂製すべり軸受「イグリデュール」による、自動車の燃費向上・電費向上のためのソリューションを提示した。ドアやマルチヒンジのジョイント部分に採用することで無潤滑で錆びることなく静粛に可動。ペダルシステムではアキシャル/ラジアル両方で予圧を与えたイグリデュール樹脂すべり軸受が、振動やきしみ音の発生を抑え、局部荷重や高い静荷重にも対応できることなどを謳った。また、シートの可動部にイグリデュール無給油ブッシュを採用することで、ノイズなく簡単に調整できるほか、最大120 MPaの高い静荷重に対応、電着塗装中の再較正によって、すきまを最小限におさえ、きしみ音を防ぐことなどをアピールした
 

樹脂製すべり軸受「イグリデュール」による、自動車の燃費向上・電費向上のためのソリューション

 

 ダイセル・エボニックは、金属・ゴムホースに比べ軽量で自由に曲げ加工が可能な樹脂チューブシステム「MLT8000」を披露した。内層がPP樹脂のため耐加水分解性に優れるほか、ポリアミド樹脂の外層による強靭な機械特性を持つことなど、燃料・冷却配管システムの軽量化+信頼性向上をアピール。樹脂チューブシステムが、金属を主に利用した配管に比べ防錆処理が不要なほか30~50%以上の軽量化が可能なことや、ゴムホースと比較して生産効率が高いうえ占有容積が少なく狭いエンジンルームでの容積の自由度をアップするといった利点があることなどを謳った。
 

樹脂チューブシステムによる燃料・冷却配管システムの軽量化・高信頼性の提案

 

 大同メタル工業は5 月22 日~ 24 日に開催された「人とくるまのテクノロジー展」に出展、エンジンの機械損失低減に貢献するエンジンベアリングの低フリクション技術として、軸受表面に固体潤滑剤を分散させた樹脂層を施した耐摩耗性向上コーティングによってアイドルストップ仕様エンジン用軸受として採用されている「DLA02」、さらに最近開発された耐摩耗・耐焼付き性コーティングを施したエンジンベアリング「DLA06」を紹介した。開発品は、軸受表面に固体潤滑剤を分散させた樹脂層を若干柔らかくすることで異物混入時の耐摩耗性を高めるソフトマターならではの異物埋収性を付与したほか、低粘度化の進むエンジンオイルの使用条件下で発生しやすい温度上昇を抑制、焼付きを防ぐ。
 

エンジンの機械損失低減に貢献するエンジンベアリングの低フリクション技術