リガクと日本電子は、極微小結晶の分子構造を解明する電子回折統合プラットフォーム「Synergy-ED」を共同開発、販売を開始した。
同品は、電子線を用いて分子の3次元構造を可視化する、測定から解析までのシームレスなフローを実現した電子回折計。これは、リガクの超高感度高速検出器「HyPix-ED」および単結晶構造解析用ソフトウェア「CrysAlisPro for ED」と、日本電子の透過型電子顕微鏡で培った技術を組み合わせた成果で、製品名にもあるとおり、両社のコア技術のシナジーによるもの。
本製品最大の特徴は、測定サンプル(ナノ結晶)の選別からデータ収集、解析までのフローを一体化することで、従来必須とされる電子顕微鏡と結晶学の専門知識が無い非専門家にも電子回折を手軽に利用できる分析装置として実現した点にある。
両社は2020年5月、リガクの単結晶構造解析用装置の要素技術と日本電子の透過型電子顕微鏡技術を組み合わせた、「極微小単結晶構造解析プラットフォーム」の共同開発契約を締結し、協業を開始した。両社のコア技術のシナジーが発揮されているSynergy-EDは、従来技術では不可能だった数10~数100nmの極微小結晶を用いた単結晶構造解析を可能とした。
また、これまでとは異なり、データ処理技術や結晶学に関する専門知識を必要としない。そのため、Synergy-EDではデータ収集から解析までの一連のプロセスをシームレスに実行でき、導入後すぐに電子回折による構造解析を開始することが可能。これにより、アカデミアにとどまらず、新薬開発などをはじめとする最先端の現場での研究開発に貢献できる。