三菱ケミカルは、民間企業として世界初となる月面探査の実現を目指す、ロボット・宇宙開発ベンチャーのダイモンとの間で、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)部材および熱可塑性樹脂材料の提供や技術支援を内容とするパートナーシップ契約を締結した。その一環として、2021年秋に打ち上げ予定の月面探査車関連部品に三菱ケミカルのCFRP部材が使用される予定だ。
宇宙分野で使用される機器は、打ち上げや宇宙空間などの過酷な環境での使用に耐える強度や剛性、耐熱性が求められることに加え、1kgあたり1億円とも言われる月面への輸送コスト低減のため、部材の軽量化も大きな課題となっている。これまで主にアルミ素材が使われてきたが、強度と軽さを兼ね備えるCFRPの普及が期待されている。
三菱ケミカルではすでに人工衛星など宇宙分野でのCFRP部材の採用実績を有しているが、今回のダイモンとの提携によって宇宙空間や月面での使用実績を積み重ね、製品開発と月面基地部材など用途開発を加速する考えだ。同社では「今後も、発展が見込まれる宇宙分野への展開を積極的に進め、事業の成長を図っていく」とコメントしている。