「nano tech 2020 第19回国際ナノテクノロジー総合展・技術会議」が1月29~31日、東京都江東区の東京ビッグサイトで開催された。
ソフトマター関連の計測・評価技術では、以下のような展示があった。
大塚電子は、小角光散乱法を用いて、高分子やフィルムの構造をIn-situ、リアルタイムに解析できる高分子相構造解析システム「PP-1000」を展示した。X線や中性子線を用いた装置と比べて、より大きな構造(μmオーダー)の評価が可能で、偏光板を用いたHv散乱測定からは光学異方性の評価や結晶性フィルムの球晶径の解析、Vv散乱測定からはポリマーブレンドの相関長の解析が行える。
スペクトリス マルバーン・パナリティカルは3角度検出器を搭載した粒子径・ゼータ電位測定装置「Zetasizer Ultra」を展示した。粒子径と分子サイズ、粒子電荷、および粒子濃度を測定するための最先端のシステムで、多角度動的光散乱法(MADLS®)により校正不要な濃度測定を実現。新設計のディスポーザブルセルで、最小3μL以下で粒子径測定が可能になり、貴重なサンプルでも安定したデータ取得を可能にしている。
東陽テクニカは、米国KLA社製の薄膜機械特性評価装置「G200X ナノインデンター」を展示した。DLCなどの硬質材料からゴムや粘着剤などのソフトマターまで、あらゆる薄膜の機械的特性評価試験(動的粘弾性測定やスクラッチ試験など)に1台で対応する。μNオーダーから最大10Nまでの広域荷重での測定に対応するほか、最速1点1秒以下で硬度・ヤング率の高速マッピングを実現。また、高分子材料の過熱環境下でのクリープ評価や加熱粘弾性評価にも対応。さらに、ナノスクラッチ試験によるサブミクロンの膜厚のはく離・耐摩耗性評価や、押込み試験による薄膜の破壊靭性評価も可能。
日本サーマル・コンサルティングは、アイデンティポリ社製の熱可塑性樹脂検査装置「QA2」を展示した。簡単な操作でプラスチック原料の品質検査が可能で、入出荷検査や品質管理に最適な装置。原料ロットごとの相違や保管前後の変化、材料の種類などを、ライブラリーを基に検査する。測定はDTA(示差熱分析)とDMA(動的粘弾性測定)データを同時に行い、ガラス転移温度や軟化温度等から判定するもの。また、樹脂の特定や品質、生産ロットごとの比較等を測定してレポート化する。
ブルカージャパン ナノ表面計測事業部は、ナノサイエンスAFM(原子間力顕微鏡)「JPK NanoWizard 4 XP」を紹介した。クローズドループ原子分解能とXY100μmの広範囲スキャンレンジで、最速3秒/1画像のスキャンスピードを備え、AFMヘッドにはクローズドループスキャンとディフレクションシステムを搭載。プローブとサンプル表面の触圧をリアルタイムで測定しフィードバックをするピークフォース・タッピングモードを搭載。脆くやわらかいサンプル、粘着性の高い試料でも安定的に高解像度の画像が得られる。
堀場製作所は、一台で液体中に分散している粒子の粒子径、ゼータ電位、分子量を測定することができる上、ゲルの網目サイズ分布も測定できるナノ粒子解析装置「nanoPartica SZ-100V2」を展示した。ソフトマター関連でも、架橋剤の添加量が異なるジメチルアクリルアミド(DMAAm)ゲルの網目サイズの測定や、セルロースナノファイバーの濃度を変えた際の網目サイズの測定、合成クレイのゲル化過程の測定など、広範なアプリケーションに適用できる。