三洋貿易、塗料添加剤向けセルロースナノファイバーの拡販へ

2019年12月19日(木曜日)

 三洋貿易は、ノルウェーのボレガード社が製造する水に分散されたセルロースナノファイバー(CNF)「Exilva」を水系塗料の機能性添加剤として拡販していく。調色後の粘度変化を起こしにくい点や、塗装時にレベリングに悪影響を与えずに、たれ止め機能を持つ点などをアピールする。

 

「Exilva」
「Exilva」

 

 Exilvaは機械解繊で添加剤を含まないため環境にやさしく、数十~数百μmと繊維長が長い。また、OH基を多く保有することで水系に使用できる。さらに、高いアスペクト比、表面積が大きく絡み合い保水性が高い、高いチクソ性を持つ、ナノサイズの繊維が立体的な編み目構造を形成し体積顔料等が絡み合い、高粘度で安定した水分散液を形成する、など多くの特徴を持つ。

 用途は、塗料・インキ、プラスチック、フィルム、製紙・段ボール、化粧品、振動版、リチウムイオン電池、コンクリート・セメント、掘削ケミカル、種子コーティング、など広範にわたる。

 水系塗料において、ベース塗料の調色後に、界面活性剤の影響でレオロジー調整剤として使用される会合型増粘剤の会合型ネットワークが阻害され、粘度が低下するという現象が見られる。

 これに対してExilvaでは、繊維の物理的なネットワーク構造と、その表面のOH基による他材料との水素結合により高い増粘効果が得られるため、調色後の粘度低下を抑制できる。また、静置時の粘度の向上、降伏値の向上効果があるため、重い顔料粒子を長期間均一に分散させることができ、さらに静置時の粘度の向上によってコーティングの厚塗りを可能にし、塗布回数を減らすことができる。シェアがかかった後の粘度回復も早く、たれ止め性能の向上にレベリングを犠牲にすることなく寄与できる。